王「どう お礼を すればよいのか
わからぬが この品を
うけとっては くれまいか。
王「これは マール・デ・ドラゴーンの
一族をひきいる 総領に
代々伝えられるという 伝説の剣。
王「かつて シャークアイが 最後の
戦いに 出航する前夜 お守りにと
わしに くれたものだ。
王「これは アルスどののような
方にこそ 使っていただくべき
であろう。
*「この国には ふたつの伝説が
あるのじゃ。
*「ひとつは かつて コスタールを
すくうために たたかった
最強の海賊の話。
*「もうひとつは また コスタールと
ホビットの祖先を すくった
旅の勇者の話。
*「この平和な世で わしらが
生きてこられた かんしゃの気もちを
忘れぬよう 語りつがれてきた伝説。
*「それらは わしら 皆の
宝物なんじゃよ。
*「あんたも うわさくらいは
聞いたことがあるだろ?
氷づけの 海賊船の話。
*「あれこそが かつて わが
コスタール王の先祖とともに
魔王と戦った 海軍なのだそうだ。
*「でも 伝説じゃあ 魔王がほろんだら
その呪いの氷も とけるはずだった
らしいけど。今は どうなんだろ。
↓
*「はるか昔 初代コスタール王は
魔王の手から 国をまもるため
最強の海賊と 手をむすびました。
*「しかし そのことは 魔王の怒りを
よび 海賊マール・デ・ドラゴーンは
永遠の呪いの氷づけに。
*「しかし 伝説の旅の勇者のかつやくで
魔王に封印された 国々も もとの
世界にもどり……
*「そして 魔王のチカラも すでに
つきており 世界は 今の
平和な姿を とりもどしたと。
*「それが 私が調べて だいたい
わかったことなのです。
が どうしても ふにおちない!
*「魔王が ほろんだのなら なぜ
海賊船の氷は とけないのでしょう?
それだけが わからないのです。
↓
王「やっほ~ 旅のお客人!
元気に カジノしてる?
王「あそこは わしの先祖が
旅人や 海賊たちのために ひらいた
娯楽場だから よっていってよね。
王「そらっ わしからのプレゼント!
特別会員証を あげちゃおう!
アルスは コスタール王から
カードのようなものを うけとった!
アルスは 特別会員証を 手に入れた!
王「いやあ 平和っていいよね!
↓
*「ここは コスタール。
海にうかぶ 港の国だ。
*「しかし 今は 魔物に支配され
この城も 町も
牢ごくのような もの。
*「どこから やってきたかは しらぬが
こんな場所に たちよっても
しかたなかろう。早々に 帰られよ。
*「ああ われわれ兵士の チカラが
およばなかったばかりに
こんなことに なろうとは…。
*「これというのも われわれが皆
史上最強の海賊 シャークアイさまの
チカラに たよりきっていたため。
*「おのれのウデを みがくことも
忘れるとは まったく
なさけないことです。
*「ボクたちが なにかしたって
いうんですか!?
はい/いいえ |
*「あっ すいません つい…。 *「でも ボクの妻は もう ずっと |
*「ううっ… 私の コリン…
こっちへ いらっしゃい。
*「そっちには 魔物が いるのよ…
まってちょうだい…
ううっ。
メルビン「どうも こういうのを見るのは
やるせないものでござるな。
ガボ「あの女の人 目がうつろだし
なんか 変なこと言ってたぞ。
寝ぼけてんのかな?
アイラ「どうやら お子さんを
亡くされたみたいね。
かわいそうに……。
*「海賊 マール・デ・ドラゴーンのことを
知ってるか?
はい |
*「あの総領 シャークアイには *「海賊なのに 弱いものには |
いいえ |
*「かつては 最強と呼ばれた海賊だが *「そうすれば 海の魔物に *「けど そのせいで かえって |
*「キャプテン・シャークアイって
あたしも あこがれてたのに
残念だわ。
*「この国が 闇に封印されたとき
魔物に はむかったから 魔王の
呪いを かけられて…
*「マール・デ・ドラゴーンの 船ごと
遠い海で 永遠の氷づけに
されてしまったんですって。
*「おや あなた方も 旅の人ですな。
船も 出せない 今 いったい
どうやって ここまで…?
*「いえね 私たちは もう なん年も
この国に 足どめ されてしまって
まいってるところ なんですよ。
*「かつて 史上最強と よばれた海賊
マール・デ・ドラゴーンと 契約を
結んだ国だというから 見にきたのに。
*「私たち 芸を しながら
世界のあちこちを 回っていたの。
*「といっても ユバールの人たちみたいに
本格的じゃ ないけどね。
*「あ~あ これから どうなるのかしら?
あたしも 伝説の 踊り娘ベレッタ
みたいに なりたかったのに…。
アイラ「ベレッタって たしか
伝説の 踊り子ライラの
1代前の 踊り子の名前だわ。
アイラ「この時代 ライラは まだ
生まれてないのかしら?
*「ケケケ…
苦しむがいい! 悩むがいい!
*「そんな人間たちを 見るのが
われらが マスターの
楽しみなのだ。ケッケッケッ!
ガボ「な なんだい 今のヤツ?
消えちまったぞ。
メルビン「今の男……
さては この国を苦しめる魔物の
手下でござるな。
*「やや! 見かけない顔だな。
この キケンな 闇の海を
わたってきたというのか?
*「ここは コスタール城。
旅人が やってくるなど
何年ぶり だろうか。
*「おおかた あなた方の国も
われわれと 同じように
苦しめられているのだろう。
*「どうやら 世界の 終わりも
近いようだな…。
*「あら? あんたたち
この国の人じゃ ないね?
はい |
*「だったら 教えたげるよ。 *「王さまの 親友でもある 海軍の長 *「海の魔物をやっつけたことで 魔王の *「遠くまで 海をわたったんだよ。 |
いいえ |
*「あら そう? ごめんね。 |
はいの場合
アイラ「シャークアイという 英雄を
失ったことは この国の人にとって
大きな痛手に なったのね。
王は しんこくな顔をして
なにやら 大臣と 話しこんでいる…。
*「えっ? 宿屋のおかみなら
あたしだけど…。
*「うちの宿に 泊まりたいのかい?
でも 今は いくら商売でも
おすすめ できないねえ。
*「王さまの 許可でもあれば
別だけどさ。
ガボ「よっしゃ。
それじゃあ 王さまに 許可を
もらいに行こうぜ。
メルビン「むう……。
宿にすら 自由に 泊まれぬとは
なんぎな国でござるな。
アイラ「宿屋にも 泊めたがらないなんて
いったい この国では
なにが 起こってるのかしら?
大臣「すまぬが 今は たいせつな
話をしているところ なのじゃよ。
大臣「…え? ここの宿屋に
泊まりたい ですと?
はい |
大臣「しかし この国には 大臣「ここに とどまって 王「まあ まて 大臣よ。 王「なにか よほど ウデに 王「むしろ この国が 閉ざされた今 大臣「…しかし 王さま。 大臣「もし あれを 見られたら 王「わっはっはっ! このごに およんで 王「それに この新たな 出会いが 王「旅のお方。ゆっくり話を 王「今夜は 宿に 泊まるなどして |
いいえ |
大臣「とくに 用がないなら |
ママのことが わかるでしょう?
*「だ 大丈夫かっ!? シエラ!
*「だから 言ったろう?
この子には もう オレたちのことも
わからないんだ!
シエラ「ええ…でも…。
この子は 私たちの 赤ちゃんなのよ。
あきらめるなんて できないわ。
*「うわっ!
シエラ「ああっ! あなた…
どうして こんなことに!
うっ うっ うっ…。
ガボ「オイラ この国が どうして
こんなに 暗くなってんのか
ようやく わかったよ。
アイラ「どうやら 大臣が 言ってた
満月の夜のわざわい……
正体が 見えてきたわね。
メルビン「これが この国を苦しめる
魔王の呪いでござるか。
むうう……許せんでござるな。
*「これは 旅のお方!
おどろかせて 申しわけありません。
*「といっても 旅なれた あなた方なら
魔物を おそれることも
ないかもしれませんが…
*「しかし あの魔物は その
シエラさんの娘の 変わりはてた姿…
どうか みのがしてやってください。
アイラ「やっぱり そうなのね。
なんて むごい……。
*「このようなことを ただ じっと
見ているしか できないとは
兵士として 情けないかぎりだ。
*「これで もう この国には
子どもを産もうなんて 考える者は
1人も いなくなってしまうだろう。
*「元気を 出しなさい シエラ。
オレたちには まだ
元気な息子が いるじゃないか。
シエラ「うっ うっ…
どうして こんなことに…。
ううっ…。
メルビン「アルスどのっ!
わしは 今日ほど 魔王を
にくんだことは ないでござるよ。
アイラ「……あんな風に わが子を
失った母親に かける言葉なんて
わたし わからないわ。
ガボ「魔王って 今までも ひどいこと
いっぱい してきたけど……
今回のは あんまりだぞ!
*「ああ また ボクたちのときと
同じ不幸が おきてしまった!
*「防具屋のシエラさんまで
うちの妻のように 病気に
ならなきゃいいんですが…。
*「ううっ… 私の コリン…
こっちへ いらっしゃい。
*「そっちには 魔物が いるのよ…
まってちょうだい…
ううっ。
アイラ「あの奥さんも シエラさんと
同じ目に あったのね。
なんて むごいのかしら……。
ガボ「あの女の人
寝ぼけてるわけじゃ
なかったんだな。
*「われわれ お城の兵士に できるのは
せいぜい 魔物になった子どもから
皆を 守るくらいのことでしょう。
*「コスタール王は 戦いをきらい
兵士にも 実戦くんせんを
させなかったのです。
*「そんな わが国に
暴力ではない戦いが あることを
教えたのが 総領シャークアイどの。
*「わが コスタール王の
親友でした。
アイラ「海賊と 王さまが
親友同士だったなんて ちょっと
変わった 組み合わせよねえ。
*「大灯台の 聖なる種火は
エンゴウの火山より
もたらされたもの。
*「しかし この国が 闇に
閉ざされた今 エンゴウの国に
ゆくのは 不可能じゃ。
*「大灯台が 生きかえれば せめて
永遠の闇からは 開放されそうな
気がするんじゃがのう。
アイラ「聖なる種火……。
それで 大灯台を よみがえらせれば
なんとか なるのかもしれないのね。
アイラ「問題は それを どうやって
手に入れるかだけど……。
大臣「やや アルスどの。
やはり わが国の 悲劇を
見られてしまいましたな。
大臣「5年ほど前 わが国が 闇に
封印されていらい 生まれる子どもに
呪いが ふりかかり始めたのじゃ。
大臣「生まれて 最初の 満月の夜に
その子の 姿が おぞましい魔物に
変えられてしまうという…。
大臣「そして 自分の親の顔も
わからなくなり どこか 闇の先へ
去ってゆくのじゃ。
大臣「こんなことが 信じられようか?
はい/いいえ |
大臣「まったく これでは 人の心まで |
アイラ「魔物が 走り去っていった先が
気になるわね。
アイラ「彼らは いったい どこへ
姿を 消してしまうのかしら?
*「わが王は ご自分の悲しみなど
あまり 口にはされませんが…
*「かつて コスタールが魔物に
おそわれた時 最愛の奥さまを
亡くされたのです。
*「ですから 同じ思いを 親友に
させたくないと お考えに
なったのでしょう。
アイラ「この国では 王も 民も
だれもが 心に 深いキズを
負っているのね……。
王「う~む う~む…。
王は なにやら
うなされているようだ。
*「こうして 暗い海を ながめていても
目を閉じれば かつての 幸せな
日々が 思い出されるようです。
*「私は コスタール国の 楽士として
長い間 皆さんと 暮らし
そして 旅をともに してきました。
*「とくに わが国のほこる 海軍
マール・デ・ドラゴーンとの
船旅は 最高の 思い出です。
*「そう… 今でも このさざ波に
まざって あのときの にぎわいが
聞こえてくるようです。
*「キャプテン・シャークアイ!
*「はあ はあ…
シャークのだんな!
シャーク「どうした カデル?
出航の じゅんびが
ととのったのか?
カデル「いや そうじゃなくて
例の お客さんが この船に
乗りこんで きたんですよ。
カデル「われわれの 船が この港に
よるって 情報を だれかから
聞いたらしいんでさあ。
カデル「…キャプテン・シャークアイ?
聞いてます?
シャーク「ああ…聞いてるよ カデル。
やっこさん ついに来たか。
シャーク「ふむ…まあ オレたち一族も
そろそろ 大きな目的を
もつべき時かも しれんな…。
カデル「まあ わしらは 今までどおり
ただ 海を あばれまわるってのも
好きですがね。
カデル「われらが 総領
シャークアイどのの 決定には
どこまでも ついていきまさあ。
シャーク「わっはっは!
たのもしいことだな。では
お客人に 会ってくるとしよう。
シャーク「船出の じゅんびは
たのんだぞ カデル!
シャーク「これは コスタール国の方がた
こんな むさくるしい所へ
ようこそ!
シャーク「それにしても
コスタール王は あいかわらず
物好きなお方 のようですな。
シャーク「かりにも 一国の大臣を
わざわざ 出むかせるとは。
大臣「あいてが あなたですからな。
キャプテン・シャークアイどの。
とうぜんの ご命令でしょう。
大臣「それに 今日こそは
よいお返事が 聞けるものと
確信して まいったしだいです。
シャーク「海賊マール・デ・ドラゴーンと
手を結ぶため うまい話をもちこむ
やからは 今までも 多かったが…
シャーク「あんたの国の 王とだけは
契約を結んでも よいかもしれぬと
オレは 考えている。
シャーク「なぜだか わかるか?
大臣どの?
大臣「はて… 私のような
凡人には シャークアイどのの
お考えは はかりかねますが。
シャーク「…まあ いい。
聞かれても 教えるつもりは
ないからな。わっはっは!
*「シャークアイさま!
出航のじゅんびが ととのいました!
*「行き先は 予定どおり
ラグラーズの港で よろしいですか?
シャーク「…いや。行き先を
へんこうする。目的地は
ここより北西の コスタール国だ!
*「はっ!!
了解いたしましたっ!
シャーク「大臣どの?
なにを ぼうっと
つっ立っておられる?
シャーク「長旅の じゅんびは すべて
ととのっている。さあ 船室に入って
ゆっくり くつろがれよ。
大臣「シャ…シャークアイどの!
かんしゃ いたしますぞ!!
カデル「目的地へんこう!
北西へと 向かう!!
カデル「イカリを 上げろーっ!!
ヨーソロー!!
*「すてきな曲ね。
とても 心が やすらぐわ。
*「これは アニエスさま。
起こしてしまいましたか?
もうしわけありません。
アニエス「いいえ。眠れなくて
こまってたところなの。
おかげで 落ちついて眠れそうよ。
*「それは ようございました。
コスタールの国に 着くまで
あと ほんの数日…。
*「あちらでは 大変な かんげいを
うけるでしょうから 今のうちに
おからだを 休めておかなくては。
アニエス「ふふ…。心配しなくても
大丈夫よ。私は これでも
シャークアイの 妻ですもの。
*「ふしぎですな アニエスさま。
あなたは かつて どこかの国の
王女さまだったとも いわれるお方。
*「そんな 高貴な生まれの あなたが
嵐にもまれる 海賊の生活を
長い間 つづけておいでとは。
*「お国をすててまで
シャークアイさまに ついてこられた
理由は なんなのでしょう?
シャーク「アニエス!
そこに いたのか。
こんな 夜ふけに どうした?
アニエス「あら あなた ごめんなさい
心配させちゃって。
すぐ もどるわ。
シャーク「まったく お前は ときどき
このオレを ヒヤヒヤさせるよ。
じゃあ 部屋に もどるぞ。
アニエス「わたしが 夫を 愛するのは
きっと あの人が コスタール王に
ひかれるのと 同じ理由ね。
アニエス「シャークアイが 魔物と
たたかい 海をまもってきたのは
自分の名声や 欲のためじゃないわ。
アニエス「そう… あなたの国の王が
コスタールの国や まわりの世界を
まもろうとしているのと 同じ。
アニエス「わたしは どこまでも
夫に ついてゆくわ。
兵士「…シャークアイどのが われらの
海軍をひきいるように なられて
もう 2年…。
兵士「王さまの ご期待どおり
マール・デ・ドラゴーンの
かつやくは めざましいものです。
兵士「しかし 魔物は どんなに
たおしても また なん倍もの数で
押しよせて きりがありません。
王「うむ…どうやら われわれは
闇の世界から 目をつけられて
いるようだな。
王「これだけのことを してきたのだから
当然といえば 当然であろうが…
王「じつは シャークアイどのが 明日
魔物の目を ひきつけて はるか
沖へと おびきだし…
王「そこで いっきに 決戦へと
もちこむつもりで おるらしい。
兵士「そ そんなキケンな! いくら
最強の海賊とはいえ 闇の王に
ねらわれたら かないませんぞ!
兵士「しかも つい昨夜 アニエスどのの
おなかに 赤ちゃんがいることが
わかったばかりでは ありませんか!
王「わかっておる…。
しかし シャークアイどのは いちど
いったことは 必ず実行する男だ。
王「われわれが とめても 行くだろう。
それに これは わが国を… いや
この世界を救うため でもあるのだ。
*「さすが わが友 コスタール王!
じつに よく わかっておられる。
王「おお シャークアイどの。
聞いていたのか。
王「奥方アニエスどのの おからだは
いかがかな?
シャーク「昨夜は 心配をかけましたが
もう大丈夫。あの様子なら また
船旅にも 出られそうだ。
王「…シャークアイ。これは
友として いわせてもらうが やはり
明日の船出は とりやめてほしい。
王「闇の王のチカラは はかりしれん。
ここで もし そなたたちの身に
なにか あっては…
シャーク「もう わかっているはずだ。
このままでは 闇に 封印されるのも
時間の問題だということを。
シャーク「オレは あきらめてはいない。
敵とて 万能ではないはず。
なにか 打つ手が あるかもしれん。
シャーク「心配するな。オレは
そう簡単には くたばらん。
王「…そうか。正直にいって
行かせたくはないが 国王としては
礼を いわせてもらおう。
シャーク「…ああ。
コスタールの民は
偉大な王をもって 幸せだな。
シャーク「さて 今夜は われらの船にて
わが妻アニエスのための 祝いだ。
あとで 船に 来てくれ!
カデル「お~いっ! 酒だ!
もっと 酒を もってきてくれっ!
王「…やれやれ。城の楽士まで
いっしょになって さわいでおるわ。
王「わしも 妻が 生きていれば
なにもかも 忘れて 踊りだしたい
気分だよ。
王「なあ シャークアイ。明日の船出に
ひとつだけ 条件が ある。
王「奥方の アニエスどのを
コスタール城に あずけてほしい。
これだけは 約束してくれ。
シャーク「……。
シャーク「アニエスと 結婚して もう
なん年にも なるが 今になって
初めて 子どもができた。
シャーク「この 決死のたたかいに
船出しようという 今になってだ。
シャーク「…これは 神の意志だと
思わないか? オレたちに 未来を
きずけと いうことなのかもしれん。
シャーク「コスタール王よ。
妻と 生まれくる子どものことを
よろしく たのむ。
*「アニエス!
そこに いるのか!?
シャーク「この雨で 祝いの宴も
終わりだ。さあ お城からの
むかえが お前を 待ってるぞ。
アニエス「…あなた。この
おなかの子が 生まれたら わたし
また あなたと 船にのるわ。
シャーク「ああ もちろんだ。
この子は オレたちの船で
育てよう。
シャーク「海の神が さずけてくれた
オレたちの子だ!
オレは 必ず お前のもとに帰る!
*「…闇に 閉ざされた この国が
いつか もとの平和な世界に
もどれるまて…
*「私は この思い出を たいせつに
まもって ゆきましょう。
*「ゆうべは 大変でしたね。
この国が 闇に閉ざされたとき
魔物の王が 予言した通りだ…。
*「未来に 生まれくる子 すべてを
満月の夜 われらが 魔物の身体に
変えてやろう! とね。
ガボ「ふわあぁ……。
ゆうべの さわぎで
オイラ まだ 寝足りないぞ。
メルビン「人々を ジワジワと苦しめ
絶望させていく……。
魔王め! なんと こうかつな。
アイラ「たしかに この呪いが
ずっと 続けば いずれ
この国は ほろびるわね……。
アイラ「でも わたしたちが
そんなことには させないわ。
*「あの シャークアイ総領だって
魔物に やられてしまったんですもの
もう 誰にも 勝ち目はないわ。
*「あなたたちも あまり
この国のことに 深入りしないほうが
身のためよ。
*「ゆうべは こわかったわ。
こんな目に あってるのは
私たちの国だけなのかしら?
*「そんなこと ないわよね。
他にも 闇に封印されたという国は
たくさん あるって 聞いたもの。
ガボ「そう言えば オイラたち
もう いくつの大陸を 封印から
解放してきたのかな?
メルビン「今まで 多くの大陸を
めぐってきたが……この国ほど
絶望の深い地も なかったでござる。
*「昔 アニエスさまの お腹から
赤ちゃんが 消えてしまったときも
お気の毒だったけれど…
*「こんなふうに 自分の子どもが
魔物になるのを 見せられるよりは
かえって よかったかもねえ…。
アイラ「愛する夫を 失い
お腹の中の 赤ちゃんまで
消えてしまうなんて……。
アイラ「アニエスさん かわいそう…。
ガボ「ええっ? 赤ちゃんが
お腹から 消えちまったって
そんなこと ありえるのか!?