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E章二ページ目 IFもしも彼女を止めることが救済ならば

クレスメント家が恐れていたのは、「魔王召喚は世界を滅ぼす」「はぐれヤローは俺の欲しかった召喚術まで持っている」ことと、彼女のぶちギレだった。

「血を啜る悪魔」の術の延長がパンデミックによるバイオハザードなのは想像に易い。

クレスメント家はもうちょっと手札を整理すべきだった。相手が憑依召喚患者であれば、戦って殺さなくても眠らせて装置の外付けで延命させる手はあった。バノッサのように生け贄から魔力を吸出しよりしろに変えるタイプの召喚は確かに強大だ。一旦発動したら助からないように見える。

でも発動中であれば、世間で思われているより介入の余地はある。サモンナイトユークロス五巻であのメルギトスは言った。

「人間の感情を吸収する」「サプレスの召喚術を使う際の補助になる」「再現なく悪魔を呼び出す」「魂が擦りきれる→魂を維持するための最低量の魔力すら、力の行使に注ぎ込む」

→ようはサモンナイト4のマナ喰らいのように使用制限があるんだ。「人間の」と限定した。あの宝珠を使用しているときは「赤い靴」のように止まらなくなっていた。

しかし「人間限定であれば」あの時綾が動いていたように。ファリエル等「生きた人間以外が憑依して操縦している」相手の感情は宝珠も吸収できないし。

 

「生き物の感情」全般という脅威であっても、無生物のプログラム行動までは対象にならない。ロレイラルの技術なら救えるはず。

マナ喰らい。あの時、肉体じゃなくて内面につく憑依召喚術な以上、未だ生きた人間であったセクター先生が無事だった理由が少し違和感あった。魔獣なんだから感情を食らう悪魔絡み、ってところにもっと注目すべきだった。解除可能な生体プロテクトとプログラムの併用=「生き物の肉体を外部から操縦する道具」、をサイボーグは装備していると言う話だ。

脳死患者に使う→人工心肺や人工呼吸器など生命維持装置のように、生体操作プログラムで外部から体を操ってもらえばいい。回復可能な脳死を実現するのは無理でも、「茨姫の眠り」「メスクルの呪い」「メトラル逹の魔眼」「白雪姫の仮死」「低体温症による生命反応低下」等、生きた人間をそのまま無生物(の心)に近付ける手段はあるはず。

発動中に、救助側からまず犠牲者の意識他精神活動を停止させて、そしてチューブを繋いで無機物から魔力を供給させる。魔力を吸い続けるなら、一旦くっついた四肢は切り離すしかないかもしれないが、悪魔になるよりは救いがあるだろう。バノッサやケンタロウの場合は義体でも何とかしそう。

もし悪魔の軍勢や源罪がひどくて近づけないなら、召喚術抜きで付き合ってくれる悪魔か、犠牲者がそれ以前に召喚した護衛獣など魔力の経路が繋がっている相手から。経路を逆流させて犠牲者へ呪いをかける。

この世界の危機で、一番救世主になれる可能性があったのは融機人だった。電気信号操作能力のあるインジェクスから、サモンナイト4の地熱プラントなど外部からの電源からマナをとって流し込めば、魔王召喚患者の施術前以上の悪化、進行は止められるはずだ。

その上で、無機物に心まで制御された、「無機物のくっついた、元よりしろになるはずだった人体」から宝珠をひっぺがせばいい。活動さえ停止すれば、皮を切る程度で剥がせる。

彼女に悪魔の側へ来い、といわれたときに抗うー選択肢のために、融機人逹はいてくれたんだ。