B章 魔女と契約の満了 それぞれの悲劇ーユクレス(アークランド)のメルギトス

B章

「魔力を渡す代わりに、人間の世界に行って暮らすために、通路を開いてほしい。」

→「門を開くどころか、儀式を行わず、門を閉めてしまったのですから。」

 

ウリキルス曰く

「クレスメントは契約を違えるようなものではなかった」「あれは事情があり、本来は、話し合いで済む話であった」ー例え、どれ程不誠実で悪徳であろうとも。しかし、キャスト達が中途半端な記憶しか保てず、メルギトスが一方的に捲し立てているのだ。と。

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拾い子=養女ではあったといえ、異界の民でありながら召喚師を自称し、メルギトスの誤解を招いた「レルム村のアメル」。彼女は血識と感情を順逆に操り、読心を用いて、一門を高めていった。

しかし、相変わらず彼女の本質は、弱くて臆病で、守るものだけは手離したがらない。そういうままだった。

契約の期限延長は可能であるが、為さないままではいられない。

彼女はさっさと契約を満了させて、人間界を謳歌したかったが、問題は多かった。お父さんに聞いた通り、誰かが暴力をもって非道を通そうとすれば、必ず抑止しようとする英雄達が現れる。

最低でも、青の派閥とエルゴの守護者たちはやってくる。また、守護者としてだけの繋がりでなく、リィンバウムの巫女たちに鬼神竜神がついているように。当時はリィンバウムを守ってくれる四界の神々は多かった。

 

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念入りに計画を立てることにした。

 まず、青の派閥と仲良くすることにした。技術を持ち寄ったり、様々なアイテムを設計しては鍛冶職に作らせて青の派閥に納品した。青の派閥の用事を手伝ったりもした。関わる中で、使い魔を中継させたりもして、気づかれない範囲で心を読み情報を集めていった。

お父さんの実子は、しっかりとした意思のもと青の派閥のメンバーとして任務をこなしていった。強かったわけでないので、失敗したり逃げたり隠れたりもしていたが。

準備の間に実子に、女ができそうになった話をされたりとかやきもきしたが。契約を完了させないと、本当は家族が関係ないということを、万一の時に悪魔王に訴えられないため我慢していた。(それもあって、後世においてディズニー映画よろしく、実子の恋人、の欠片を。人造生命技術の延長で培養、移植することで、恋人の生まれ変わりとしての青春を謳歌することに決めたようだ。)「ーは、私の一番大切な人です。それだけは変わりません。」

そして、準備が整い、契約から20~30年経った上で決行することにした。僅かそれだけの期間で、クレスメント家は調律者としての虚名を極めるほどになった。茨姫の仙女よろしく「運命すら操る」と言われ出したのもこの頃。占いに長けており。他の占い師と逆の結果を正確に読み取れた。人造生命系の技術とサプレスの奇跡を組み合わせることで、胎児の因子の操作→男女の決定や遺伝病の治療、魔力の適正の操作が可能となった。

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 そしてー外道召喚師達の暗躍と青の派閥による取り締まりが活発になっていること。中央の政府と組んだ青の派閥及び軍部が、日本の江戸時代よろしく、藩主家取り潰しによる直轄領拡大を目指していること。青の派閥が異界の民の自治区を目障りに思い、具体的なアクションをとろうとしていること。それらの情報を集め、タイミングを待った。

ー当時は結界がなかったため、友好的な異界の民は不干渉の自治区を営んだりもしていたが。利便性、交通性の高い土地の確保。防衛戦略の都合や戦争時の進軍の障害。人間の召喚師達との技術・知識・能力の格差による→権威にとっての邪魔さ(ひがみ)。押収することのできる財宝や書物、様々なものの魅力。それらを考えると青の派閥に異界の民に滅んでもらうメリットは多かった。

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そして、まず青の派閥に便利な「鍵媒」として強力なアイテムを納品する。次に、備品の管理体制を内から弱める工作をしたタイミングで、外道召喚師にその品を奪わせ、そいつらにメルギトス召喚の儀式をさせることにした。準備が終わる前に、他の追撃メンバーと仲間になる。

そしてー行われようとする儀式を、青の派閥とその一団のメンバーとして止めさせ、門を閉じる。妹を守るためということもあり、その実子も儀式を止める。そうやって世間の信頼を自作自演で集めたあとに、魔王召喚や契約をするのは外道召喚師、として自分に嫌疑がかからない状況を作り出した。外道召喚師捜索、追跡の任に便乗して、自身が計画のため動いても、疑われないポジションを得た。そのように追跡側に紛れ込んだ

 ウリキエルいわく、「そこで止めておくならば、メルギトスが言った通りの。裏切り者として終わっていただろう。傀儡戦争時にはメルギトスも、それだけの記憶しか無かった。」

 しかし、本命はそこからなのだ「相似:サモンナイト3 卑怯者」

ウリキエルいわく、「青の派閥と異界の民の入植者、との紛争は昔からあり、クレスメント家が関わろうがそうでなかろうが騙し討ちという形で決着していただろう。」

しかし、彼女はその件に便乗した。

元々、青の派閥は騙し討ち目的のために、友好関係を装って贈答関係を結んだりした。二心の無い、無関係な別の世界や現地の、友好的な存在も利用し紹介した。境界種も生まれてはいた。「相似:サモンナイト3:海から来た暴れん坊」

が、あるときついに危害を加えることにする。サモンナイトxの世界でよくあるようなことだ。帝国によるアークランド攻撃の件に近い。

青の派閥としては、

所属不明の外道召喚師がメイトルパ系入植者の集落を襲撃した。異変を察知して集落に入るも、外道召喚師達は既に住民の殲滅を終えていた。集落を占領した外道召喚師どもを殲滅した上で、外道召喚師の持ち物や事件に関係する資料を押収する。また、その土地も危険なため青の派閥が管理する、という方向に持っていくことにした。

「相似:サモンナイト メスクルの病」

「相似:サモンナイト3:カルマルートの剣の継承」

「相似:サモンナイト3:シアリィの恋」

 

 彼女は秘約という重荷を捨てるためにも、青の派閥に協力することにした。再び強力な召喚アイテムを渡した。「集落の中で条件を満たすと、起動しますよ。しかし、起動者は犠牲になります」金で雇われたものを騙すか、狂信的な構成員がやるものと思っていた。

→彼女は、サプレスの精神体の召喚方法として「環境適応型の授肉型」を選んだ。軍勢で攻め落とす気だろう、と。軍勢をどうしようもなくなったら、面目を失ってでも異界の守護者へ泣きつくだろう、と。 

うっかり実子や家族が巻き込まれないためにも、理由をつけてその前後、家に縛り付けておいた。

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しかし、青の派閥の陰謀家達は、彼女から渡された品を弄り直した。そのことにより、彼女の契約履行はとんでもない方向へ行く。

青の派閥は、軍勢を召喚する気はなかった。あくまで、人間の優位を証明するためと、魔王召喚の原理を操作可能な確たる者にするため、集落突入時の損害を減らすため、以後の活動に題目をつけるため。そして、手駒と実験材料を得るため。

魔王召喚に近い召喚呪詛を行うことにした。即ち宿主を器にする憑依召喚をアイテムに組み込んだ。

「ウリキエルいわく。名前はその魂の過去と異なるのだがー「」は現在の名前で」

派閥で雇った女性軍人である、「ヘイゼル」は密命通り集落の中心部、守護の大樹の側へ潜入する。アイテムを起動させる。莫大な威力の憑依召喚呪詛が為され、集落のセルファン族他獣人、妖精、境界種や人間の入植者達は一様に苦しみながら死亡していく。ヘイゼルもまた死亡した?

宿主への憑依を目指したものの、魔王ほどの中身の器はない。器に入りきらず、器に押し込められて器が破裂し溢れる霊体達。結局、授肉でも宿主でもなく、肉体亡き霊体のまま魔力を消耗しながら自己を存続させる形でリィンバウムに定着し始めた。

「痛い、苦しい」「死にたくない、ガギャァァ」「よくも」「コロスコロスコロス」「憎い、人間が憎い」「コワス、すべてを壊して、破壊し尽くしてやるぅ」

「マルルゥ」「オウキーニ」皆苦しみながら死んでいった。それらの無念を食い続け被害者がより魔王に感情と命を供儀に捧げ、授肉のための糧にしていった。

そんな中一人の天使もまた苦しみ狂っていった。「シアリィ」。セルファン族の姿をとったサプレスの天使であった。自然に手を加えることを望まぬメイトルパの民を、それでも種の福利厚生をできるだけ外部からもたらすために潜入していたのだ。外部からの密猟者を監視する役もあった。

懸命に加護を分け与え、自らの力を憑依召喚のように分けることで犠牲者を救おうとしていったが。結局、他に助けは現れず。寧ろ真っ先に悪魔王の生け贄にされそうになった。しかし苦しみながらも「オウキーニ」が庇い死亡し、呪詛の嵐の中の感情・源罪を浴びて、最後には自ら狂っていく形で堕天していった。

「どいつもこいつも格好をつけながら、私を置き去りにしていく」「もしも悪意のあるものを見分ける知恵があって、お人好しでなければーこんな風な悲劇は避けられたのに。」「弱肉強食。弱い、そして愚かな種は強者の糧になって容赦なく絶滅していく」それらの念が混じり合い、感情を一極に高め、対極の存在へ「シアリィ」という器は生まれ変わった。

そして、授肉したリィンバウムにおいて恋人と付き合う中、子孫に恵まれていくことも望んでいたため、生殖可能な存在へ自分を変えていた、そのことも災いした。異なる肉体を育める妊婦になれる素質が、最高の宿主を産み出し、サプレスの霊は彼女をベースに集約した。

そして、堕天使から悪魔王になったメルギトスのリィンバウムでの特徴にふさわしく。新たに生まれた堕天使を生け贄に。霊体から肉体を持ったものへ。メルギトスは誕生した。

 

結局、青の派閥の手には終えず。意識が明確になる前に他の世界の神々とその仲間の勇者たちが現れ、はじまりのメルギトスは討伐された。召喚呪詛の汚染源となった森も結界で覆われ、番人がついた。

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ウリキエル。「本来は、彼女やクレスメント家は悪魔王の力の運び人に過ぎず。

直接メルギトスとの因縁を繋いでいるのは、青の派閥という組織そのものと、歴代の派閥長、異種族排斥論者勢力の暴力なのである。青の派閥という組織そのものが悪魔王の傘下であるが、自分の都合と人間達への思いやりで誰も悪魔王へ告げないのだ」、と。

「本当は知らせるのが正義だ。無知ゆえに偽預言者のために働くものは、絶えない。しかし、明かすことは出来なかった。それもまた、人間へ責任をとれるもの以外には、告発しても自己満足に終わってしまう」。召喚師の世界のクレスメント家と青の派閥達のみならず、社会上層部の王侯や行政府も入植者虐殺に関わったのだから。嘗て悪魔の侵攻の盾に使った異界の民を、事情が変わったからと。今度は異界の民に対する悪魔王と同盟を組んだのだから。「ただでさえ群雄割拠を望む安定しない種族の社会で、上層部を揺るがせば、一気に悪魔達の望む感情は集まり。リィンバウムの浄化作用は減殺されますますその核識は自家中毒で死に絶えていくだろう。今のところは回避しよう」という政治判断だった。

クレスメント家のみならば、異界に追放するだけですんだかもしれない。しかし、異世界に対する統治府である、青の派閥の頂点が悪魔王と同盟を組み、勢力の届く範囲が一気に異端化へ転んだならば。ライル一族がいようがいまいが異界の民は失望して去っていっただろう。ユエルと同じか「道具→奴隷に好かれようとは思わんよ」。それが民意なのか。

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クレスメントの一族は寧ろ、「守護者の側で召喚して、すぐ倒させた。という誤解をされたままであるから」怒っているのだろう、と。恐怖に怯えた。

 

何故か、彼女もまた今生の終わりが近づいた。神々に愛されし勇者たちがこの件を調べ、アイテム制作者、アイテム供与者である彼女に感づき、討伐したからかもしれない。

彼女以外のクレスメントは勇者達に断片的な真実を聞くものの。サプレスの者の再来を知っていたため、自分自身で罪を犯していくことになる。

ウリキエルいわく、「もしもここで、彼女が本当に信頼すべき家族たちへ秘密を明かすことができていたならば、クレスメント家のその後の罪は犯されなかったのかもしれない。彼女の真実からすれば、事実を知らなかったクレスメントに、さらにライル一族は巻き込まれただけなのだから。

しかし、強くないものにとって、その様なことをするためには、支えてくれる、太陽のような導き手が必要であったのだろう。告白するのは大変な酷であった」