されど罪人は竜と踊る一巻前半ーティエンルン条約反対派の真実推理 アザルリやザッハドの使徒、ドゥーチェッタも保護する必要ありますか?砂漠の人食い龍は賞金稼ぎの的ですか?

尾を食らう蛇の根本はそれではないか。条約反対派は思い詰めた表情をしたストライキ集団だった。ストライキ集団。個々が異貌のものどもへの怨恨で動くなら、より深い感情で条約無視の密漁を斡旋するだろう。この人たちはそういう動機で動いてない。

十三巻最後の、「それでも自分は人間の側にしか立てないよ」というオキツグの台詞の逆。ようは二巻の砂漠の人食い龍役を、条約がない異貌のものどもにして欲しいのだろう。あのストライキ集団が本当に何とかしたいのは、人類全体の圧政であり社会構造。

ウムルンのドゥーチェッタは人類社会的にも処刑されて当然の奴だったが、それでも条約に保護されて、自国内では完結せずに外国人の手で殺された。ザッハドの使徒編でハーライルが指摘した通り、「法律で保護されて、裁判を受ける程度なんて許せない」と被害者と賞金稼ぎが殺到するような奴も人類社会全体の構造に一定の庇護を受けている。そういうやつらこそ人対異貌のものどもの間で殺し合いをしているべきだろう。黒社会の助長も含め。ある意味、条約による庇護が人類社会の腐敗を守る温床ー箱庭となっている。

尾を食らう蛇の不法移民はまだ境遇が説明つく。しかし一方でドゥーチェッタのせいにせよ、自国内でチュデックのような悲惨な境遇にいる人物たちも、本人たちの手で社会を変えられずに苦しんでいる。人為的に、社会を変えられる天災を呼び込んで社会を変えたいほど思い詰めているのでないか。

はっきり言って、あまり関係ない異貌のものどもにはかなり迷惑だ。ジェノンのように。ストライキ集団と、正面から向かい合ったジェノンやムブロフシュカには彼らが理解できないだろう。

そして、異貌のものたちの心性や知性を前提とする棲み分けも結局は二巻ラストで秩序派のアムプーラと向かい合ったガユスの感想通りに終わる。結局、条約が破棄された世界になったところで。異貌のものと戦う世の中であろうと侵入が難しい要塞内に都市を造り、定期的な狩猟と自給自足の食料産業で生計を立てる社会に変わるだけ。結果、力のある攻勢咒式士の勢力が無力な市民を取り締まる、箱庭のマフィア政権が生まれるだけだ。黒社会の連中が異貌のものども対策に忙しくなるどころか、市民権を獲得する世界になるだろう。

 

ところでティエンルンやヤーウェンの名前って、尾を食らう蛇の被害者の名前に似てないか?違う、エリュシオンにトリビュレン。オルケンティウス一派失脚を報じた報道誌の名前に近い。