道化の予言の手品 されど罪人は

されど罪人は竜と踊る 5巻短編集一作目

道化の予言、より手品を引用

 

  俺が行った、道化の予言の手品と同じだった。 手のなかで種類を判別し、観客の解答が正解ならそれをもっともらしく予言していたと言う。 最初の解答が外れていたら次の解答が正解のように、さらに外れていたら、と繰りかえすだけの後出しの正解。それは偽の予言だった。
手のなかで種類を判別「手に握ってください。他の人には見えないようにね」 俺は見ないままに残った二枚を懐に入れる。

 

観客の解答が正解ならそれをもっともらしく予言していたと言う。 最初の解答が外れていたら次の解答が正解のように、さらに外れていたら、と繰りかえすだけの後出しの正解。→「ホラレムさん、三種類の硬貨から一枚を選んでください」机の上にある三枚の硬貨のうち、一イェン硬貨を指先でつまむ。「では、捨てた硬貨以外の硬貨のどちらかを、手にとってください」それでも素直に五イェン硬貨を取る。「ホラレムさんが選んだ硬貨は、机の上の十イェン硬貨ですね」 俺の言葉に、ホラレムや人々の視線が、机の上に集中する。

「それではサイーシャさん。掌に持っている硬貨を皆さんに見せてあげてください」 サイーシャが五指を開く。掌には机の上のものとまったく同じ、赤銅色に輝く十イェン硬貨が現れた。

普通は、ホラレムは初めの一イェンを選んだと見なす筈。なのに選んだ後で捨てた、と言い切った。 

初めのサイーシャに対しては「他の人には見えないようにね」と言っているのに、次のホラレムに対してはその一言がない。故にホラレムが一イェン、五イェンの順番に手にとっており。十イェンが残っているのが、文章上に記述されている。

手品らしい数字の規則を用いたものではない。手品ならば手品師本人が途中で受け取ったりはしない、か。