ミスマルカ興国物語12 シリーズを通した謎が解ける。何故あの事故は起きたのか。

ミスマルカ興国シリーズも本編が一区切り。 まさか聖魔杯がバッテリーカートリッジである紋章のための、エンコーダーであったとは。このエンコーダー。マヒロ王子の認識は結局最後まで間違っていたことが明かされました。そして、はっきり描かれません。ただし、何故ラヒル王は斬首されたのか。あの時の第三王女の態度がああであったのは何故か。ラヒル王は結局国を併呑されるのが自明なままで挽回の策を残さなかった理由は何か。それを追っていきましょう。

結論、最も儚いものとは人骨である。おりがみのリッチーを普段間近に見ていればそう言う意見になるだろう。本来墓所にあって、それを倉庫に移した、と言うのも遺骨であれば納得できる。つまり、生身であれ死後であれ、管理者であるミスマルカ王朝の直系こそが聖魔杯であると言える。より厳密には骨髄かもしれない。本来はあくまで遺骨は杯の素材にすぎないのかもしれないが。聖杯戦争のストーリーにインスパイアされているなら、ミスマルカの起源はホムンクルスか改造生命なのかもしれない。イリア等を素材に聖杯は作られるわけだから。

ラヒルの。神殺し四家の、親の能力を子に受け継がす仕組みを再現した継承技術。継承技術のせいでミスマルカ王家のエンコーダー能力を、幼かった頃のマヒロは既に受け継いでいてしまったのだと見る。ラヒルは自分が持っている聖魔杯関連の素質をはっきり認識せず、計算に入れずに継承技術に手を出してしまったのだろう。

継承技術で引き継いだ親の魔力などを人造紋章として活用しようというのがラヒルの計画だった。しかし、紋章はバッテリーカートリッジ。そして、ミスマルカ王朝は先天的に代々エンコーダーである。本来別々に分けて管理するべきものを合体させてしまったわけだ。バッテリーカートリッジを宝箱、エンコーダーを鍵に例えると。マヒロ王子という存在は始めから鍵穴に鍵が刺さった宝箱であったことになる。だから、マヒロだけが暴発を起こしたのに対し、ラヒル王の研究成果である他国の王子王女たちは何事もなく人造紋章を用いて、活躍しているということだ。

それでも何故あのタイミングだったのか、と言うところでは疑問がある。ただ、紋章というバッテリーカートリッジのエネルギーを渡すべき億千万のものの一人が間近に居たこと。そして、その億千万のもの自身がマヒロの魔力をみようと仕掛けた状況だった。マヒロは鍵穴に鍵が刺さった宝箱。それも本来の受取人である億千万のもの自身が鍵を回したわけだから。紋章の、再現品の人造紋章のエネルギーであろうと。本来の受取人が、本来のエンコーダーを用いて、エンコーダー自体の本来の用途で解放するのであれば本物と同じ役目を発揮する。それにしても、その億千万のもの。折角億千万のものの中で自分だけ側に居て、側で濃密な力が放出されるんだから。力を嗅ぎ付けて群がってきた有象無象に摘まみ食いされていないで一人飲み干してしまえばよかったんだ。そうすれば、そいつ自身の夢を叶えるだけの力が手に入ってしまったかもしれない。

 

結論。第三王女はそうと知らないまま聖魔杯にリーチをかけたわけだ。ラヒル王の殺害時に。だからラヒル王を殺害した後に黒セイバーのようにトリップしていた。ミスマルカ王家の人間が殺害されると大なり小なり溜め込んだ魔力が放出され、その魔力にあてられるのかもしれない。逆に言えば、あの時ラヒル王が殺されていないと、聖魔杯の秘密に帝国が気付いた後、歴代ミスマルカ王の遺体を用いる策を採らない場合。率先して紋章回収を行っていたマヒロ王子を、遺体にして聖魔杯として活用されてしまうかもしれない。だからラヒル王はあそこで、最も武力を以て聖魔杯を追い求める帝国の重鎮の手で討たれる必要があったのだろう。

さらに言えば、ラヒル王は折角追い求めた聖魔杯の正体を、理想や観念的なものと思い込んでいた節がある。ラヒル王にとっての「最も儚いもの」とは武力を嫌う心や平和。そして息子であるマヒロのことだろう。聖魔杯について国際社会や各列強に追わせるなかで、その理想を体現しようとするマヒロ王子を注目させ、聖魔杯の謎解きをするなかで「最も儚いもの」への意識を向けてほしかったのではないか。ラヒル王は自分が欲に駆られて人造紋章を追い求めたせいで暴発事故を招いたことに、自蔑と罪の意識を抱いていたのだろう。

いや、あの時の光景を見てfateの聖杯に対するような意見を抱いたのでないか。つまり、人間にとって良くないものであり、押し付けられるのであれば渡してしまいたいものだと。だから聖魔杯関連の管理の中心地であるミスマルカ王都を奪われそうなときも、奪われたままくれてやる意図になったのだろう。もうちょっと粘れば聖魔杯関連の秘密の開示をカードに、その時有効でなくても後日チャンスが廻ってくるような伏線を遺すこともできたはずだ。