ノーゲーム・ノーライフ6 シュヴァルツァーのデッドエンドの回避方法について   ーネタバレ注意ー なお、ムシウタ六巻と十巻を一緒に読むとより親近感が湧きます。

 シュヴァルツァー。決戦の地で、強力な種族の中でも特に例外的な、死神キャラに出会ってしまったために、フラグ付きのデッドエンドに至ったと思われている。
しかしそれ、異種族交流のロマンスとか悲恋とか、一切あの強敵に関係ないし。
何よりも重要なことは、気づいている人がどれだけいるかわからないけどあれ、フリューゲルのジブリールじゃないよ。一般評価は十位エクスマキナよりも低い、十三位吸血種、虫である。
難易度はむしろ本物を相手取るよりも高く、しかも攻略方法を間違えたゆえのデッドエンドである。

とある魔術の禁書目録のオルソラ=アクィナスとジブリールの性格が違うように感じることもあるが。実際別なキャラだ。オルソラは恐らくフリューゲルではない。ジブリールは気が短い。普通のボードゲーム一局をまどろっこしいと感じるほどに。オルソラみたいな癒し系、もといおっとりキャラではない。

「既に何度か発見されたら「詰む」相手を関知しては、その度徹底的に隠れてきた」
吸血種による偽装と判断する一番の理由は。「詰む」相手を何度もやり過ごしてきた果てに死神に見つかったということだ。
シュヴァルツァーが摘む、相手が何体もうろついている中で。そいつら同士で首を狩りあってなお捕食者足り得るジブリールが、こそこそ動いているーエクスマキナの中では数が多い解析体を、わざわざ狩るだろうか。獲物はもっと選べるはず。
こそこそ動いているシュヴァルツァーを、一番始めに見つけたのが最強の一角のジブリールというのはおかしな話だ。戦の王者は王者足る戦い方でトロフィーを集めて自慢できるはずなのに。仕留める戦力よりも、発見できる索敵能力と、発見されずに近付く隠密能力が要求されるあのシュヴァルツァーを。逃げ隠れせず強大な力を纏うジブリールが隠密して仕留めるとは考えにくい。
そう、シュヴァルツァーは何故ジブリールの接近に気づけなかったのかもう少し深く考えてみるべきだった。

これらの台詞もジブリールでないことを示している。
「まさかこの程度で私から逃げられると思ってませんよね」
「私から逃げるのでしたら、長距離跳躍ではなく、光と粉塵に紛れて『視界外』に逃れてからにすべきでしたね」
「ーーーーー少々私をなめすぎですね」
「しかし、私にー防護魔法を使わせたことは誉めてあげましょう」
「おや、当て付けのつもりで。ーーーー上等でございます」

シュヴァルツァーが知っているジブリールの情報ー製造されたときから防御を常時展開しているーに当てはまらない。これに、さらに個体としての工夫で防護を編み出し、必要に応じて用いている。
と思ったようだが、違う。確かに「眼を剥いた」という描写があることも含めて。
防護魔法が必要な程度に脅威になるー光は苦手ということだ。
また、衝撃の攻性防御を、手刀で切り裂く、打ち払ったことからー素で当たっても大丈夫というわけではない。それこそ普通は防御魔法で相殺した方が手間がないだろう。
いや、素直に教えそうにないキャラだと分かっていればー「防護→回避」行動で対処したと読み取れる。

機械の翼を見たときに「当て付けのつもりで」と言った。当て付け→遠回しにいったり、わざと反対のことを言って相手を避難すること。
この場合だったら、ジブリールの翼より勝っている機械の翼を出したぞー、と言われているつもりだったことになる。本人はそう認識しない。
虫が自分の羽膜と比較されたら、怒るだろう。


「ようやくミスらしいミスを。手間をかけさせてくれましたねぇ」
ラストに近いこの台詞。「一切認識もできない」「反応も感知もできない」→これがこのジブリールの無敵ぶりの正体だ。ただでさえ実力で勝っている相手のミスに助けられて倒せる、なんて戦闘で強いやつが喜ぶだろうか。

「つけつけあがりすぎのようで。少し冷やしてあげましょう。永遠に」と来て。
「ーおや、胴体を狙ったのですが。手元が狂いましたか」
となる。普通はあの台詞のあと、ピンポイントに頭部の部品をどれかー耳などを弾きとばすはずなのに。
このジブリールは二百五十一秒とその前からの、シュヴァルツァーの善戦を魔術による屈折、身代わり等によるものと考えたのでないか。シュヴァルツァー自身の挙動でなく。魔法やアイテムーそう特に薬指にはめた指輪などによって逸らしずらし致命傷を避けているものと考えたのだろう。そしてー恐らく「ミス」を誘発するような幻覚や認識魔術も平行して用いていたのだろう。魔術行使中にミスをすれば致命的だ。新訳とある四巻の木原加群、ベルシに対して使われるような戦法だ。
そしてー空間移動を引きちぎったり、解析体にすら認識できない埒外存在からの攻撃。これは認識魔術の延長にある攻撃なのだろう。そう。悪夢だ。付近一体にムシウタで言う隔離空間が張られていたのだろう。映画のサイコだ。
ジブリールの姿をしていることすら。元の姿が近いのかは知らないがームシウタの玉藻、伊佐姫子の恐怖を操るヤスデと同じ認識干渉なのだろう。擬態と同じーチートキャラが目の前にいるように迷彩出来るのだろう。

シュヴァルツァーの善戦を魔術による屈折、身代わり等によるものと考えたのでないか。シュヴァルツァー自身の挙動でなく。アイテムーそう特に薬指にはめた指輪によって逸らしずらし致命傷を避けているものと考えたのだろう。っていうか実際にそうなのかもしれない。いつもならどんなデータも三秒かからない回線において二百五十一秒かかるのは。シュヴァルツァー本人とは別にそばにある重く、不整合なデータも転送しようとしてしまったからではないか。あるいはアイテムでなく決戦の地に潜んでいたなにかとか。

そう考えれば、「ミス、何のことだろ」と呟いた上で、微笑んで指輪をかざした仕草が、善戦のからくりを、致命傷と引き換えにしてでも守ろうとしたように見えてくる。
それなら「あなた様は」と呼び方を変えたジブリールの意図も、戦士として徹底した勇者に対するものととれる。

あるいは虫であるならー大切な人ー契約した主からの贈り物に対して微笑んだように見えたのかもしれない。

「今は一秒が永遠に感じるよ」
「迫り来るジブリールの天撃がひどく遅く感じた。思考の異常加速を感知。いわゆる走馬灯」
とある辺りがこのジブリールの能力を示している。多分天撃はこのジブリール向きの能力ではない。異常な反応速度の方。このジブリールに相対して対未知用アルゴリズムを組んで、その速度に追い付こうとしたために、とあとある科学のアクセラレーターの量子加速機のごとき未知の計算を一から組み上げる能力が仕上がったのだろう。