ノーゲーム・ノーライフ 1 十六位人類種と一位神霊種の住む位相の隔たりについて,

 

十六位人類種と一位神霊種の住む位相の隔たりについて
 十六位人類種と一位神霊種の隔たりについてーあえて複雑な言い方をしているが、単純に言えば人類種は神霊種を観測もできない、ということ。作品中で語られる分には、十六位は魔法も精霊力も世界全体に対する認識操作も観測できず、かつ神霊種は存在そのものが魔法であるために。素の状態で魔法で構成された神霊種は見えないし、その神の声を捉えることも出来ない。だから、こと「観測させることで機能する」代物に至っては、神霊種が見せる幻覚魔法も、認識に作用する精霊力も、全く意味をなさない。はずなのだ。
 もちろん十六位が、魔法で作った、自然界の電子が集まったライトニングを受けないのかといえばそうではない。とある魔術のイマジンブレイカーじゃないんだから。つまり一位の側が精霊力で物質世界の光と音と原子を束ねて、自らの姿と声と肉体を用意すればよいだけである。一位の側が発意して工夫すれば、十六位の視覚、聴覚等の五感に捉えてもらうことは可能だと考えられる。意思をもった魔法の塊が、外殻や衣類感覚で、原子を束ねた肉体をまとっているというのは、漫画で言うとシャーマンキングやブリーチ、うしおととらレンタルマギカのイメージが近いだろうか。

 ゆえにー、空白の空は十六位の原則一般から外れているのか、それとも周りが外れている中で一人だけ原則に忠実でいるのかわからないところがある、と提起される。ノーゲーム作品二巻ラストシーンを注目すると、よく分かるだろう。
 四巻冒頭のプラムの幻覚魔法と同様、光学迷彩。つまり素で見える自分の上に、自分がいないその場所の光景をシールのように張り付けて見せる目眩ましに関しては、十六位に対して意味をなさない。透明マントのようなシールの方が見えないんだから。
 逆に言えば、純粋に魔法で構築された嘲り声や落書き、プラカードも十六位は気づけないわけだが。十六位かどうか確かめる簡単な方法は、魔法で作った火事の情景を周囲に映したり、「火事だー、空襲だー、避難を!」といった警告の声を魔法で鳴らしたり。硬貨の落ちる音を聞かせたり、他人の姿をした犯人による置き引きなどの犯罪情景をみせたり、魔法で作った壁紙や新聞折り込み広告に特定の場所へ誘導する文章を載せたり。道行く人の顔や姿の上に、死人やのっぺらぼうの顔を被せてみたり。
 自信作を言うなら。寝ている相手の目や耳にバーチャルリアリティを構成する記録作品を上映したり。魔法を観測できる人間にだけ時計の針が通常と異なる速度で動いているように見せ、かつ周囲の光景も偽りの時間の流れに準じたものへ変わっていく、そんな手品を見せたりする。そんなことをして、相手が魔法を観測できない十六位かどうか確認すべきだろう反応を伺うことだろう。