ノーゲーム・ノーライフ6  リクが六位の指導者に挑んだ訳→ヴァルキリープロファイルのトゥルールートでは

 

リクが六位の指導者に挑んだ訳→ヴァルキリープロファイルのトゥルールートでは,
 予めネタバレを含むと記述しておきます。まず、シュバルツァーの理論はプロバガンダの可能性が高く眉唾なので、作品の★評価を五から四にしました。マテリアルパズルばりの奇跡級精霊力使用権競争説は、妖魔種が煽りかつ三位しか本気で信じてないと私は考えています。環境条約のカーボンオフセット、CO2排出権取引の概念を持ち出せばある程度の和解が成立するはずですから。

[単一勢力で大戦に挑んで優勝にリーチをかけていた天空の六位の超越者アルトシュに、参加資格自体を欲しない十六位のリクがいきなり横槍を入れて、最終的にー。]
作品中の十六位の悲壮ぶりを無視するようで申し訳ないが、この一文も事実の一つである。
シュバルツァーを無視するならば、むしろ六位の勢力は手出しする必要のない十六位に、いきなり攻撃されたようなものだと考える。「十六位は多すぎて、首のレア度がなかったので」。

 いずれにせよ高空に居を構え、自分達から有力勢力へ統制的に攻撃を仕掛けていた六位。それを地上に住んでいる戦争難民同然で、ゆえに作為的に攻撃される心配がない十六位が敵視する理由は、ほかの勢力と比べれば無いに等しい筈だ。地上で物資争いをする十六位以上の勢力を間引いてくれることを考えれば、むしろ益鳥と呼べなくもないはず。
 さらに言えば、当時の十六位に大空に浮かぶアヴァントヘイムの高度まで移動する手段は、シュバルツァー以外に無かった筈。つまり物資に苦しむ十六位は、机上の空論として六位を殲滅できたとして、六位の物資を接収することができなかった筈。六位の土地がアヴァントヘイムそのものである以上、殲滅の過程でアヴァントヘイムを傷つけざるを得ず、よくて飛行能力を失われて地表に墜落される。悪くて空中でアヴァントヘイムが自爆、物資も爆散。さらに六位の持っている物資は魔法を活用できる種族にありがたいものばかりである。
 勝利して得られるものは名声と大戦の戦績程度。物資難に苦しむ十六位が倒せて嬉しい相手とは呼べない筈。仮に大戦の結果ルーシア大陸をボーナスとしてもらえたとしても結果論にすぎない。

 リク×シュバルツァーは感動的なロマンスだとは思うが。シュバルツァーのもたらした大戦の概要に関する情報は、完璧な正確さを誇っていたとしても、リクと亡霊たちによる現実味の薄いファンタジーな大計画を生み出してしまう元凶となってしまったといえる。
 身の丈不相応な終戦思想を抱いた亡霊達の暗躍、陰謀は戦争のなかにおける勢力均衡をかきみだした。各勢力上層部間に緊張感と疑心を根付かせたといえる。彼らの工作の波紋が本筋から外れた事件、軍事衝突を生み出さない方がおかしい。亡霊達を狙ったスパイ狩りに無関係な人間が巻き込まれたケースもあったはずだ。シュバルツァーがリクと出会ったことは集団としての十六位にとって、多大な労力とリスクと外交折衝を支払わせる悲劇の始まりであったのではないだろうか。

  とりあえずリクが大戦のアルトシュ襲撃ルートにいったのは、シュバルツァーのせいだと結論する。
さらに六位フリューゲルではなく、シュバルツァーこそワルキューレに近いものだったように私は感じる。へヴィーオブジェクト「亡霊達の警察」の巻のリサドービルのストークキラー部隊のように、撤退戦専門のエージェントだったように見える。敗北が濃厚になった戦いにおける重要な物資や人員の引き揚げ=火事場における徴発を行う感情味の薄い作戦を行う部隊だったのでないか。それこそヴァルキリープロファイルのように大戦で育った有数の人材を徴発、運用する部隊思想設計があったのでないか。

 このノーゲーム六巻の後半でリクがコローネにいった「俺を狩るのはあと少し待ってくれ。」「お前になら人類種を託せる」といった趣旨の発言は、シュバルツァーにこそかけるべきだったのだろう。
(コローネも別勢力における外事ゲリラ指導作戦エージェントだったようではある。終盤で大戦中の資料を抹消した行為が、外部工作員であることを物語っている。ステフは他種族に近いということ。冥界のナズグルへの誘いか。空への、一巻での地の文からしてあるいはコローネの転生体、分離体か)

 ヴァルキリープロファイルのトゥルールートではレナスはヴァルハラとしての勢力から独立した形で英雄霊の集団を導き、かつての上司組織とも敵対した上で、大戦の黒幕の一人ロキと決着する。アルトシュをオーディンに見立てたゆえに、人間の英雄リクが神との決別、自律を果たす形でアルシェントとぶつかることになったのではないだろうか。

 なお、シュバルツァーの自称の由縁は馬鈴薯ばれいしょ、つまりジャガイモからである。アメリカ大陸原産。荒れた土地でも育つものの、ジャガイモにかかる疫病があったためアイルランド飢饉を招き、アイルランド移民を招いた。
 ジャガイモから作られる酒もある。錬金術のアイテムのように命の水、オドヴィと呼ばれるスピリッツ。またの名をアクアビット。あるいは日本のいも焼酎。
 バイオエタノールの原料ともなる。バイオエタノールは、機械でできた生き物や意思をもった火の玉にとって好んで飲用されるもの。東方projectの伊吹翠香は星のガスが集合体となったもので、燃え続けるために酒を好んでいるのだろう。

 ジャガイモを含むアメリカ大陸原産の植物種が人間への脅威になったらどれ程恐ろしいか。星野之宣短編集のアマゾン川流域開拓、黄金郷探索の末路を描いた作品が、森の神の怒りを教えてくれる。へヴィーオブジェクト二巻のブラジルの遺跡で語られる未知の伝染病のようなリスク。
インテリビレッジシリーズの雪女のような人格である。花の雌しべが育ってお花屋さんで売られている。
 つまり六巻でニルヴァレンが起爆させようとしていたエルブンガルドの第二位幻想種の仲間である。よってヴァルキリープロファイルにおけるオーディン役をやらせるべきは七位の超越者カイナーグであった。

 改めて。ヴァルキリープロファイルの一般人NPCはかなり災難だと、この作品を読んで感じた。十六柱以上も神がいて利得抜きで、すがるべき相手がいないのだから。現実の話を引き合いに出すが、ガザ地区周辺など中東の信仰者は、それでも帰依する相手が確立されている分幸せなのだろうか 。